大根
理想的な大根編集
外面は硬いが内面のやわらかい様子はまさに恥じらいすなわちツンデレであり、透き通るような白い肌と青々とした長い髪をなびかせる和風美女、そして食べれば身も心もあたたまるという理想的な「冬の伴侶」であり、淋しい殿方にとってはダッチワイフの代用として用いられることもある。朝鮮において女性の肌を褒める時に使われる「李朝時代における陶磁器のような白さ」という形容詞に並び、日本では「まるで地面から引っこ抜いたばかりの大根のような白さ」という形容詞が使われていたとかいないとか。また、周囲を土壌に見立てているところから「はきだめの鶴」というニュアンスをそこはかとなく含ませている辺りがいかにも日本の美を象徴している、とある美容業界人は自画自賛している。
「日本の女性は、美しい。」
〜 大根 について、資生堂シャンプー「TSUBAKI」
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現実における大根編集
ところが近年において頓(とみ)に流行している「痩せている=美しい」という西欧風の誤った価値観の蔓延によって、大根に特有のふっくらとした豊満な質感は「ぶよぶよしている」というレッテルを貼られてしまい、また「健康的な小麦色をした肌=美しい」という、これまた西洋風のとち狂った価値観によって、大根特有の透き通るような美しい純白は「日に当たらない、不健康な色」とされてしまった。かくして不当にして急激な価値観の転換によって「美白の女王」から「デブのひきこもり」へと貶められてしまった大根美人たちは、ふてくされて寝っ転がり、昼間っからテレビでメロドラマなんぞ見ながら煎餅などを貪り食らったその結果、見事なまでにおばちゃん化してしまったのである。
そんな現実に絶望した男たちが、手頃な大根[1]を見つけて、その分岐点に穴[2]をあけ、さびしい夜を過ごしていると言われている。